むかし むかし ある ところ に 死体 が ありま した。 実験A

福山雅治主演の映画『容疑者Xの献身』のトリックをネタバレ解説!

むかし むかし ある ところ に 死体 が ありま した

でもそれを使う人も、表現する作家や役者も、実際に生まれ変わる気分などは知りはしないのだろうと、高すぎる朝日の中で思った。 生まれ変わったその朝は、指先までいっぱいになった疲労感と、全身の皮を一枚はいだかのような痛がゆい、ふれるものすべてに反応するおじぎ草みたいな戸惑いに満ちていて、なんだかおかしい。 自分の身体じゃないみたいだ。 テレビで見る城とかに出てきそうな、それこそ天蓋がついてないのがふしぎなくらいの豪華なベットの上で、オレはため息をつく。 産みの苦しみというけれど、人間誰しも最初に母親の腹から生まれてくるときは、あんなに辛く大変なものなんだろうか。 あんなに苦しくてつらくて投げ出したくて、それでも生まれてくるものなのだろうか。 たくさんのできごとが破片のようにつき刺さって、じくじくと痛んで、でもみんなちゃんと『傷』になっていて、あばかれて、骨とか見えてるところもあるのに、もうひそんだ膿はなくて。 苦しいはずなのに、じっさいまだ痛むけど、でも、気持ちいい。 オレはオレなんだ、と。 あんな戦いをのりきったわりに細っこい手足を見おろしながら、笑う。 この痛みもなにもかもすべて自分のものなんだと、そんなこと自覚するほうがおかしなことに、幸せを感じる自分を知る。 昨日、一度だけ、家に帰った。 事件が解決し、御影町ももとに戻ったその日、父親と母親、二人ならんだその前で、オレは過去のそのことを告げ、自分の正体を語った。 あのとき死んだのは和也でなく尚也だったこと。 オレは本来「藤堂和也」と名乗るべき人間だということ。 2人とも知っているそのことを、オレは彼らの目を見て、話した。 父親は青くなって否定し、母親は泣いた。 何度もあやまっていた。 怒鳴られた。 なおもくり返して云うと殴られそうになった。 誰かさんが云うには、オレって人一倍、生きることへの執着が強いんだってさ。 そうかもしれない。 たしかに。 ほんとに。 自分の墓あな用意してまで、オレは必至こいて生きてきた。 尚也の名前もらって、和也を殺して。 それでも生きてきた。 それでもきっと、生きたいと思ってた。 ココロの奥底で墓あなを掘って、でも片足つっこんでるのに、ふみきれなくて。 生きたいとずっと思ってた。 母さんが泣いている。 父さんが押し黙ってる。 オレは二人をながめながら、ゆっくりと立ち上がる。 云ってからどう思ったのか、あわてて口をつぐみ、横を向いた。 オレはダイニングテーブルに左手をついたまま、彼を見た。 ひどくおだやかで、そして冷めた感情だ。 憤りはない。 怒りも、悲しみもない。 ただ終わったんだ、と。 終わってしまったんだという、感慨めいた実感があるだけだ。 オレは聞こえないよう息を一つ吐き、そして彼らに云った。 「いいよ、忘れて。 オレのことも、『尚也』のことも。 そうしたいなら、無かったことにすればいい。 大丈夫。 オレはもう知ってるから。 自分が生きていることも、ここにいることも、みんなわかったから。 その感覚がつたわる。 オレはかまわず二階に上がった。 スポーツバックに教科書と制服、いくつかの着替えと金をつっこむ。 殺風景な部屋だ。 こうやって見ると、ひどく人間の気配が感じられない。 まるで張りぼてのように整然として、冷たい。 およそ家を出る荷物とは思えないバッグの軽さに苦笑しつつ、階段を下り、玄関を開ける。 その瞬間、背後のダイニングから気配を感じたけれど、オレは無視した。 今、ふり返ってはいけない。 直感だった。 オレはそのまま外に出、そしてこの先二度と使うことはないだろう、使い古した鍵を鍵穴に差した。 チリンと鈴が鳴る。 剥げかけたマスコットのついたキーホルダー。 小学生のころだったろうか。 遊園地かなにかに行った先で、母親が買ってくれたのを思い出す。 まだかろうじて、そこに彫られた「NAOYA」の文字を読むことができた。 儀式めいた思いでオレは鍵をかけ、そのまま抜かずにふり向いた。 近づく前に後部座席のドアが開いた。 うす暗い街灯の下、不遜に組んだ足がのぞく。 「乗れ」 たった一言。 短いその言葉が、オレを閉ざされた世界から連れ出した。 入り口に立つこの家の主を認めて立ち上がろうとすると、片手で押しとどめられた。 「眠れたか?」 「うん。 ひさしぶりに。 終わったばかりなのに邪魔しちゃって」 「前にも云ったろう。 この家はむやみやたらと部屋数だけはある。 窓際の椅子に腰かけた南条は、左手をベットの端につき、オレをのぞきこんだ。 人の接触をあまり好まない彼にしては、めずらしいしぐさ。 法にのっとれば無いと答えるべきだろう。 あるいは、そうするべきかもしれない。 ほんとはあのヒトたちと喧嘩して、ちゃんと向こうにも答えを出してもらって、その上で道を決めたほうがいいのかもしれない。 あのヒトたちはそんなにひどい親ではなかった。 そう冷静に考える自分がいる。 今、こうやって『家族』という枠の外からながめると、ひとごとのように色々とわかる。 云いかえれば、今のオレにとって彼らはすでに他人の位置に立っているのだ。 ちゃんと彼らが親だ、血のつながりのある人間だ、という認識はある。 否定するつもりもない。 嫌悪感もない。 だが同時に、血が近いというつながり以外なにも感じられなくなっている。 けっきょくは他人だ。 たとえある日、昔のことを悔いて頭を下げる親たちを見ることになろうと、やはり他人以外の目でみることはできない気がする。 それは哀しいことなのかもしれないけど、オレのなかにはもう、なにもない。 あんなにしがみついて、必死に守りぬこうと思った『藤堂尚也』という場所。 それすら、今はなつかしい思い出のように感じる。 誰かがそう、ささやいた。 オレは、ここにいる。 ここにいて、生きている。 息をして、眠って、ものを食べて、水を飲んで、きっとこの先も生きていく。 生きている、感触。 生きている、感覚。 今までの、借り物のような、他人事のような感触じゃない。 この身体もなにもかもすべてひっくるめて、自分なんだという実感。 充足感。 オレは顔を上げた。 「もう、いいんだ。 心配かけてごめん」 「謝る必要はない。 了解」 「朝食の用意ができている。 起きられるようなら起きろ」 「わかった。 こういうわざとらしい動作が似合う男なんだなと、オレは今更ながらに気がついた。 「何度も同じことをくり返させるな。 部屋は余ってる。 好きなだけいればいい。 それに俺は迷惑じゃない。 空を二、三度およいだのち、南条はふいと横を向いてつぶやいた。 云った瞬間照れたのか、ドアノブに手をかけながら彼はいそいでバスルームを指さした。 「そこに着替えを用意した。 起きられるようなら着替えて1階に来い。 この部屋にあるものは好きに使っていい」 オレが答えるより早く、南条は扉の向こうに消えていた。 [newpage] すこし、学校を休んだ。 それは南条たちも同じなようで、電話で聞いたところでは桐島と城戸以外は何日か休んだと云う。 桐島はなんとなくそんな感じがするが、城戸はけっこう意外だ。 まぁでも、母親に心配をかけたくないためと思えば納得できるが。 稲葉は園村の病院にかよい、上杉は今までの鬱憤をはらさんばかりに遊びまわったとのこと。 でももうそれも終わり、みんな学校へ行っていた。 通常なら考えられない回復で医者を驚かせた園村も退院し、昨日登校した。 残るは、オレ一人。 みんな交代するように2日に1度くらいのペースで遊びに来る。 学校での話、預かったプリント、最近の話題、みんな楽しそうに話しをする。 そしてオレもほんとうに心から、作ったり意識したりせずに、笑って答えた。 べつに学校に行きたくないわけでも、それどころかほんとは早く行きたいんだけど、でも正直、まだオレは自分の状況になれていなかった。 いろいろな意味で。 これからのこと。 これから先のこと。 考えなくちゃならないことはいくらでもある。 南条は高校を卒業するまでウチにいればいい、そう云ってくれる。 どうせ他に住む人間はいないのだから、とも。 そう云ってくれるのはうれしい。 正直、甘えようかなという気持ちにもなる。 なしくずしは、だめだ。 あてがわれた居心地の良いその部屋で。 日のあたりの良い大きな窓の前で。 オレは大きく深呼吸する。 この家は居心地がよい。 だから、考えなくてはならない。 ほんと云うと、なんで南条たちがこんなによくしてくれるのかわからないけど、でもだからこそ、好意を裏切りたくない。 『この人たち』に嫌われたくない。 生まれて初めて、『尚也』が死んで以来はじめて、オレはそう思った。 そして同時に考える。 まだ完全に、ケリがついたわけじゃない、と。 オレが勝手に家を出てきただけ。 もちろんオレ自身べつにそれでも良いのだけれど、しかし『向こう』が終わったと思わない以上、一方的な家出となんら代わりはしない。 窓から空を見上げる。 チクリと、胸の底にうずく不安。 おそらくこれは、過去と向かい合うことの、『彼ら』と向かい合うことの恐怖。 「どこか行くのか? 藤堂」 日曜日の晴れた空。 オレは借り物のシャツ、すでにこれ以上ないほど自分に馴染んでしまった、借り物のだったはずのそのシャツに袖を通した。 「うん」 あいかわらず着心地よくプレスされた感触にほっとしつつ、オレは入り口に立つ南条をふり向いた。 「家にゆく。 そして話してくるよ。 なにかを暗示するように空いたままのガラス戸。 藤堂が閉め忘れたのだろうか? そう考え、俺は苦笑した。 わざとだろうか うっそりと思う。 まるでいつでも出て行ける準備をしているように、ようやっと飛び立つ準備のできが幼い鳥が、その2枚の翼のみに託して飛び立つように、最初にこの家にきたときのまま、小さなスポーツバックが一つ。 それも教科書や下着がおもで、『生きるため』に必要なモノとは違う。 この部屋に入ったとき、しずかだと思った。 あの男は騒ぐタチではないのに、ただいないだけでこの広い家が息苦しく、重苦しく感じられた。 自分でも、驚くくらいに。 ガラス戸を開けたまま、俺はその向こうに続くバルコニーへ出る。 生まれ変わったと、藤堂は云っていた。 あの男がそう云うなら、きっとそうなんだろう。 陳腐なストーリーに多様されるような、そんな表現じゃない。 ほんとうに、生まれ変わったのだ。 一度死んで、墓まで掘って、そしてもう一度、彼は生まれてきた。 すべての色が違うと、云っていた。 あざやかすぎて目が痛いと、笑っていた。 まるで子供のような、屈託も計算もない笑いかた。 4歳のときに止まっていたなにかが、今の藤堂には確かにあった。 おそらくそれは、自分たちにはないもの。 本来なら17までの成長過程で淘汰され、形を変え、べつのモノへと変質するはずのそれが、藤堂には生まれたままのカタチで存在した。 もう秋も終わる。 風は冬のそれに近い。 いま感じているこの感覚は『寂しさ』だ。 藤堂がいなくなって寂しいと、俺は思っている。 しかしそれはなんだろうか。 少なくともそう考えて生きてきた。 だがあの戦いで、事件で、藤堂のそれほどではないが自分もなにかが変わった。 一人で生きて行けると思うことほど傲慢で馬鹿な思い違いもない。 人間の生活それ自体、社会というルールの存在自体、一人で生きられぬ人間のあがきなのだと、最近ぼんやりと自覚するようになった。 自分もまたその一人。 そう考えることに抵抗はない。 寂しいというより、今はひどく寒いと思う。 もちろん外気温のことではなく、精神的に。 山岡が死んだとき、感じたのは圧倒的な虚無感だった。 なにもない。 いたいほど、なにもない。 その感じ。 その瞬間に、 けたたましい音がひびく。 」 考えにふけっていたため不覚にも俺はその音に驚き、あやうく傍らにあった鉢植えを落とすところだった。 「なんだ!?」 あわてて部屋の中へもどり、きょろきょろと音の現況を探しまわったすえにベット上の目覚まし時計へたどりつく。 止め忘れたのだろう。 朝が起きられないと藤堂が云ったら、上杉の馬鹿が持ってきた時計。 起きられないならここには起こす人間がいるのだと、そう云っても藤堂はきかなくて。 『こっちのほうが好きなんだよ。 この家には似合わないけどさ』 そう、子供みたいに、笑った。 前と変わらず、藤堂はどんな相手にも、どんな状況にも自分を変えることはなかった。 その昔は、変える『自分』がなかたっと藤堂は云う。 たしかにそうだろう。 生きるために作った仮面。 まいにちまいにち、ニンゲンの仮面を作り、一枚一枚殺して『生』きてきた彼。 そして、今はよくわからないと、しずかに笑う。 俺は安物のその時計をじっと見つめ、息をついた。 前から達観したようで、だが今は確かに感じられるその存在。 どこか透明な笑い方も、屈託ないあぶなっかしい笑いも、以前の彼にはなかったもの。 ゆっくりと、空を見上げるしぐさ。 なにを見ているんだと聞くと、『空』と答える。 上杉や稲葉なら揚げ足をとられていると思うのに、ふしぎとあの男だと納得する。 空を見上げるその様子。 あんなところに生まれて、生きて、育って、それでも今、彼は空を見上げている。 ほしいと、思った。 [newpage] 「圭さま?」 コートをはおり、玄関で呼び止められる。 渋々ながらとはいえ 山岡以外に「坊ちゃん」の呼び名をゆるした者はいない。 入りたての使用人。 名前は知ってる。 麻生慎一。 昔から、顔も名前も覚えるのは得意だったが、今までそれを彼らに使ったことはなかった。 まるで彼らに頼っているようで、使いたくなかった。 しかしこの家に寝泊まりするようになった藤堂は、当たり前のように彼らの名前をたずね、何度もくり返しながら話をするたびにそれぞれの名を口にしていた。 名前など、ただの個識別のためのナンバーと変わらない。 そんな認識を、彼ほど力強く否定できる者はいないだろう。 「すこし出かけてくる。 よく食べそうなのがゴロゴロといるし、とりあえず10人分ほど夕食を用意しておいてくれ」 「10人分、ですか?」 「ああ、おそらくにぎやかになる。 が、さすがに南条家に雇われるだけあってすぐにいつもの態度をとりもどし、ゆっくりと頭を下げる。 藤堂のことはおそらく父も、ましてや母など知る由もない。 彼がここにいる意味など。 麻生は忠実な使用人らしく、完璧にうなずいた。 「了解しました。 彼らを『使用人』のくくり以外で見ることはなかった。 身近だからこそ気を抜くことができなかった。 だがそれも今にして思えば、父親の教育のたまもの。 信頼しても、信用するな。 ありふれた帝王学。 父親を尊敬するかと聞かれれば、ためらいながらもうなずく。 父親が好きかと問われれば、迷うことなく首をふる。 そういう家庭。 疑問を持たないようにしてきた。 南条家の嫡男であるかぎり当然のことなのだと。 しかしそれは、単に逃げ。 俺自身、答えはとうに気づいていたはずなのに。 『あいつら』に出てもらうのも、悪くないかもしれない。 [newpage] 家の前で息を吐く。 これでいったい、何回目だろう? いい加減いやになって、オレは激しく首をふった。 たいがいオレも度胸がない。 あの戦いの時は動じない、冷静だとほめられもしたが、一皮むけてみればただの軟弱な男。 これがオレ。 親に会う、それだけのことができずに、玄関の前に立ってから30分近くがたった。 それが、正直な感想。 家を出るだけじゃだめなことはわかっていて。 オレはまだ未成年で、あの人たちの子供で、ちゃんと話をつけなくちゃいけないこともいくつもあって、自分がしっかりしていれば大丈夫。 オレはもう自分の正体をわかっているから大丈夫。 そうくり返しても、絶対の自信というやつは持てなくて。 ダケド、コレハ、通ラナクテハイケナイコト。 以前はあんなに恐いものなしと云われたけど、あれは単になんにも持っていなかったからだ。 今は恐い。 恐くないことのほうがきっと、少ないと思う。 ようやく手に入れたもの。 手に入れた場所。 それを壊す刃を持っている、父と母。 ほかの人間にはできなくても、彼らの言葉一つで壊れる可能性のある無力なもの。 ソレデモ、戦ワナクテハ、イケナイ。 あたりまえだ。 ここは家なんだ。 が、途中でその呼び名に自信がなくなったか、見る見るうちに青ざめ、そして心配がちちに伺うようにしてオレを見上げた。 ああ、とようやく気づく。 この人は、こんなに小さかったんだ。 すこし、自分の手がふるえるのを感じた。 「今日はね、休日出勤やめたの。 私たちもちょうどあなたに会いに行こうと思って」 「父さんが?」 「そうよ。 引きずられそうになる感情を、オレは必死の思いで押しとどめた。 「お父さん、お父さん!」 玄関を開け、母さんが叫ぶ。 びくんと硬直しかけた身体を叱咤しながら、オレは必死にその場に立った。 会わなくてはいけない人。 父さんも、オレを見てそう云ったきり言葉にまよったが、やがて意を決したように玄関を大きく開け、そして云った。 開け放たれたドアから見えるのは、目をつむっても家具の配置がわかるような、見慣れた光景。 靴箱の上に置いてあるぶさいくなトラは、オレが小学校五年生のときに作った粘土細工だ。 左側のダイニングに続く戸の柱のラクガキは6つのときに書いたもの。 気まぐれで削った背くらべの傷も残っている。 光とりのステンドグラスにひびを入れたのは、家の中でキャッチボールをしたとき。 オレがすがってきたもの。 必死になって守ってきたもの。 ここはオレの家。 体中が云っている。 ここはオレの家。 涙が出そうになる。 ここはオレの家。 「?だれかいるのか」 背を向けてるオレとは違って道路側を見ているはずの父さんですら、『彼ら』の姿は見えないのか。 でも、オレにはわかる。 ふり向かない。 なのに、感じる。 晴れた日曜の昼下がり、こんなところに集まっているはずのない彼らの存在を知る。 みんないる。 馬鹿みたいにみんな立ってる。 退院したばかりの園村まで。 おせっかいだよ馬鹿南条。 こんなカッコ悪いとこ、みんなにわざわざ見せるなよ。 泣いたらどうするんだ。 大泣きしたら、おまえ責任とってくれるのかよ。 そこに立っている、たぶんずっと離れていて、向かいの道路からただ立っているはずのその存在がオレを勇気づける。 見開かれた母さんの目。 息を飲んで言葉すらでない父さんの顔。 今更だな。 オレ、身長も体格も、とうの昔にあなたたちを抜いていたんだ。 そうすると、喉元につまった熱さが目頭までせり上がり、オレは苦笑した。 「ものを食べて、寝て、起きる。 それだけなんだよ。 それだけで、人間生きていけたりするんだよ。 へ理屈と思うならそれでいいよ。 でもほんと、簡単なことなんだ。 自分の名前、それさえわかってればあとは動物並の生活してても、ちゃんと『人間』でいられる」 母さんが泣いている。 父さんが青ざめている。 「父さん、オレを『和也』と呼ぶ勇気はないんだろ?さっきから一度も、呼んでくれないもんな。 べつに責めてるわけじゃないさ。 オレはもう和也でも尚也でもないし、オレたち家族は、ずいぶん前に終わってたんだよ。 「今更、だれをうらむとか、だれが悪いとか、そんなことは云わないよ。 もお、いいから。 終わったから。 でも終わったものにしがみついて、まだ続いているフリをすることは、オレにはできない。 この家は、もしかすると居心地の良いところになるかもしれない。 父さんと母さんも、やさしくしてくれて、オレもそれにだまされるかもしれない。 でもだめなんだ。 オレはもう答えも、自分の名前も知ってしまった。 ここにはいられない。 このままいればいつかきっと、なにもかもが壊れるよ」 視界がゆがむ。 ただ立って、背後にいるだけのその存在が、背中を押してくれているのがわかる。 まだ一度もふり返っていないのに。 そこにいることを確認していないのに、絶対の確信を持って感じる。 「オレは一度死んだんだよ。 ほんとうに死んで、そしてもう一回生まれたんだ。 オレもう、あなたたちの子供じゃない。 ひどいこと云ってるかもしれないけど、ほんとうだ。 戸籍上の問題じゃない。 オレは無視して続けた。 全部終わりにしようとしたところ、おせっかいにもみんなで引っ張ってくれたんだ。 あなたたちを、うらむつもりはない。 でも、無かったことにはもうできないんだ。 父さんや母さんが望むように、『尚也』に戻って生活することは絶対にできなんだ。 だが父さんはそれすら聞いてない様子で、オレの腕をつかんだ。 恐怖に見開かれた、目。 どこか、狂気走っているようにさえ見える。 「わかった。 わかったよ、尚也。 だから、な?家のなかで話そう。 外ではそういう話はやめてくれ。 中でいくらでも聞くから。 おまえは疲れてるんだよ。 ああそうだ、きっと勉強のしすぎで、夢と現実がわからなくなってるんだよ。 ほら、外は寒い。 オレは生まれて初めて、父親を殴りたいと思った。 くちびるを噛み、両手を握る。 わかってる。 世間体だのなんだの、くだらないと云いきってしまうにはあまりに生活を左右してしまう要素を含んでいる。 人の生活にばかばかしいほど根付いている。 誰が悪いとは云わないけど、でもいちばん卑怯だったのはこの男だ。 確かに母さんはオレに暴力をふるった。 自分の精神のゆがみのやり場に自分の子供を使った。 それはおそらく責められることだと思うし、もちろんして良いことじゃない。 でもこの男は、それに気づきながら無視したんだ。 尚也のことも入れ替わりのことも、ぜったい気づいていたはずなのに見て見ぬフリをしたんだ! 「世間体とか、会社とか、そういうのはわかるけど、もう、いいだろ! これはオレの妄想なんかじゃない。 あんたたちがいくら否定しても、事実なんだ、現実なんだよ! ほんとに知らないならともかく、知ってるのに知らないフリはやめてくれっ! オレはこの家には帰らない。 この家には二度と入らないつもりでここに来た。 家にある荷物は全部捨てていい。 オレのことを忘れてもいい。 でも、全部を無かったことにするのだけはイヤなんだ、出来ないんだよっ!!」 叫んだ瞬間に、視界はゆがみ、くずれ落ちた。 憎んでいるのか哀しいのか、それとも両方なのか、オレにはわからない。 それは感情という波の存在を長いこと忘れていたせいなのか。 ただ、ゆらりゆらりと形を変える波の間にたたずみ、オロオロとオレを見あげ、文法の狂った言葉を並びたてる彼らを見つめていた。 音が聞こえる。 いろんなものがゆっくりと、しかし解体爆破されるビルのように確実に、間違えようなく壊れてゆく、その『音』が聞こえる。 いたくない ごめんね、かずやぁ、ごめんねぇ ほんとうにいたくない。 ごめんね、ごめんねと泣いている。 見ているだけで、ふるえているだけで、なにもできなくてごめんねと、泣いている。 大きな目。 ふるえた肩。 あれはいつだろう。 これはいつの情景だろう。 ちいさな尚也。 その前に立つぼく。 腕が痛い。 そうだ、さっき母さんに殴られたんだ。 真っ赤になって、はれている。 泣いてる尚也。 ケガをしたのはぼくなのに、泣くのはいつだって弟のほう。 それもただ、ごめんね、ごめんねと、くり返しあやまる。 自分の涙をひとごとのように眺めながら、オレはつぶやいた。 どうして、忘れていられたのか。 せめてあの森のなかで、墓あなのなかから掘り起こされたときに、なぜ思い出さなかったのか。 こんな簡単なこと。 そして、こんなにも大事なこと。 オレは、弟が好きだった。 オレたちは、仲の良い兄弟だった。 尚也はオレを慕ってくれたし、オレもまた同じ顔と同じ誕生日を持つあの弟が好きだった。 もちろん二人とも子供で、でもすこしだけオレのほうが兄貴で、でもだから、もしかすると母さんは『オレ』にしたのかもしれない。 哀しみの矛先を。 オレは弟が好きだった。 というより、オレにはあいつしかいなかった。 オレが殴られると、代わりに尚也が泣いた。 「いたいね、いたいね」と弟が泣いた。 殴られるのはオレなのに、ケガをするのもオレなのに、それ以上にとても辛そうな、苦しそうな目をしていた尚也。 きっと自分が殴られていたほうが、あいつにとってはラクだったんだろう。 やさしい尚也。 あいつがいたから耐えられた。 苦しくても、哀しくても、弟がいたからがんばれた。 尚也は狡猾だったんじゃない。 やさしかったんだ。 やさしかったから、どちらの手もふり払えず、泣いていた。 謝りながら、泣いていた。 さきほどの激昂とは反対に、思いのほかしずかにひびく声。 「母さん」 この言葉が、蔑んでひびかなければいいと、ぼんやり願った。 この人たちを好きか嫌いか、もうそんなことはわからないけど、でもせめてこの瞬間、憎悪や、怒りごしでなく向き合って見ていたいと思った。 やさしい思いは無理でも、せめてしずかな言葉で。 やさしい言葉を吐けなくても、せめて揺るやいだ空気で。 『尚也』を語るときに、殺伐と哀しい思いを添えたくない。 「オレのため、じゃない。 視界がかすむ。 泣いているのか? こんなにデカくなったっていうのに、オレって泣いてばっかだよな。 むかしはあんなに、泣きたくも泣けなかったっていうのに、ここのところの出血サービスはなんだよ。 でも、まあいいやとも、思う。 なんか、わかっから。 ケリだなんだと云ってたけど、ほんとにしたかったのはそんなことじゃない。 もっと大切で、もっと単純なこと。 いつだってそうだったけれど、オレは忘れている部分のほうが敏感だ。 「ほかの誰のためでもない、ただ、尚也のために」 オレのためにいつも泣いてくれた弟。 今ならわかる。 オレは尚也になりたかったんだ。 母親の手をふり払うこともできず、傷ついた兄の代わりにいつも泣いていた、あの弟のようにオレはなりたかった。 「尚也のために、認めて欲しいんだ」 ぼろぼろとなさけなく涙が落ちる。 すこし痛くて、たくさんうれしい。 あのとき流せなかった涙。 あのときに止めてしまった時間。 これが、最初で最後かもしれない。 でも一生に一度だけでもいいから、弟のために、過去の分を取り戻すかのように、泣いていられる今がうれしかった。 その言葉に、うなずく。 おにいちゃん。 やさしい声。 忘れていたその声。 不思議なことに、なにもかもが軽かった。 もとよりこの家に未練はなかったが、悔恨も苦い記憶も、あの死ぬために掘り続けた墓場までの道のりすら、すべてがとおく、しずかな記憶となり果てていた。 まるでこの瞬間にものすごい早さで時間が流れ去ったとでも云うように。 オレはゆっくりとふり向いた。 オレは肩越しに彼らを見ながら、ほほえんだ。 皮肉ではなく、怒りもなく、ただ心から。 笑えた自分にすこし驚いた。 とおいむかし、いっしょに遊んだころの。 ともにいることも、ともにあることも、家族としての疑問など思ったこともなかったころの。 「でもせめて、心のなかでは尚也の名前を呼んでやって。 たとえほかの部分を忘れているのだとしても、今覚えている、ここにある記憶がすべてなのだ。 ほほえんで、それから目を閉じて、オレは最後の涙をふり落とした。 云いたいことはすべて云った。 吐き出したかったことを、すべて吐き出した。 もお、いい。 あとは、決めてくれればいい。 そう心のなかでつぶやいて。 「わかっている。 だけどどうにも、おまえ一人では心配でな」 「オレのどのヘンが頼りないんだよ」 云いながらもっともだと思った。 たしかに、オレ一人だったら負けてたかも。 器用に肩をすくめ、南条はオレの肩をたたきつつ横を通り過ぎた。 そのまま止まることなく門をくぐって行く。 「肝心な話のケリをつけないあたりとかな」 「ちょっとおい、南条! おまえっ一人でズルイぞ! 俺らだって藤堂の親にはなぁっ」 「サル、おまえたちが出るとややこしくなる。 そこで見ていろ」 「俺はサルじゃねぇっ」 稲葉の叫びを引っかけながら、南条はオレを横目にゆうゆうと歩いていった。 「南条圭です」 完璧な角度をもって頭を下げると、南条はきっかり1メートル間をあけて両親を見つめた。 意志と能力に裏付けられた強い眼光が二人を射抜く。 もとより全部、承知のことです」 背後からでもわかる。 南条の、冷ややかな声と顔。 「藤堂が過去を思い出しのりこえたとき、俺たちはともにいました。 そのすべてを見ています。 藤堂自身、決着をつけたというのなら、俺が口を挟むところではない」 敬語だかなんだか。 けっきょく南条の言葉が偉そうなことには変わらない。 あなたの論理は、一方的で甚だ面白みにかける」 「藤堂の云うとおり、理解はしているんでしょう。 理解していながら、知らないフリをしている。 あなたがどう考えようと俺の知ったところではないが、話が進まない。 「衣食住の心配をおまえがするな。 あの家は広すぎる。 金に物を云わせてでも住まわせるぞ」 「住まわせるって、おまえそんな一方的にっ」 「俺なりに考えた答えだ。 きっと案の中ではいちばん良い。 それにちゃんとご両親から家賃と学費はいただく」 ゆっくりと前を向き、南条は二人を見た。 「腹ただしいが、藤堂があれでよいというのなら、あなたがた家族のことに口出しするつもりはない。 が、最低限あなた方には、藤堂を養育し教育を受けさせる義務がある。 今まであなた方は、藤堂がただ自分たちの子供というそれだけの理由で、あらゆる現実を押しつけ受け入れさせる愚かしい『権利』を使い続けていた。 現実を受け入れようと受け入れまいと、あなた方には彼の学費と生活費を負う義務はあるはずだ。 当人であるオレ自身ですら驚いてしまう、その怒り。 それと、このことに関しては、俺も、ほかの仲間たちも決して他言しません。 藤堂自身が苦しむようなまねは、俺たちはしない。 行こう、藤堂。 出迎えてくれる。 オレは今更ながらに照れくさくて、うつむき加減にみんなを見た。 「ここんとこ、こんなんばっかだな。 カッコ悪い」 「そんなことない。 尚也くん、すごいもん。 カッコいいよ」 「そうですわ。 それに私たちの方こそごめんなさい。 ありがとう」 同じ「尚也」という名前で呼ばれているのに、みんなが口にするそれと、両親が呼ぶそれとどうしてこんなにも違ってきこえることか。 「さてと、俺と藤堂は家に帰るが、おまえたちはどうする? 1つ向こうの通りの駐車場に車を待たせているが」 「車って、もしかしてリムジン?」 「9人乗りだ」 「ひえぇ~、そんなの俺様はじめてっ」 「ふつうのリムジンだってないだろうが」 彼らしく笑い、南条はさっさと歩き出した。 「全員分の夕食を用意させてある。 でもどこにゆくわけでもなく、南条の後ろを歩いている。 こいつも変わったよなぁ、とオレが云うのはおかしいかな。 だから人生はあなどれない。 ちくしょう、今日はこれ以上泣きたくないんだよ。 ふり返ると、父さんと母さんが玄関のところに立っていた。 ひきつった、だけどどこかやさしい顔をして、立っていた。 オレは深く頭を下げ、一礼した。 軍隊にでも入っていたら敬礼していたかもしれない。 そんな気分だった。 そう云って、南条がうながしてくれる。 [newpage] 生まれなおしたその朝は、 すべてがむき出して、痛いと思った。 じくじくと、ちくちくと、あちこちの傷が痛み、 苦しいのに、でも心地よいと思った。 オレは、ここにいる。 ここにいて、生きている。 END. [newpage] あとがき。 ずいぶん昔に書いた小説を、ちょこちょこと修正しつつ、久々に読み直し。 和也登場以降の展開とだいぶ違いますが、コミックス版の和也絡みの流れが思ったよりあっさり終わってしまったので、そのあたり想いを込めつつ書いた記憶があります。 ゲーム本編は最近のペルソナシリーズほど個性はありませんでしたが、コミックス版の死んだ双子の兄という設定は素晴らしかった。 ゲームのコミカライズってあまりよい印象はないんですが、異聞録のは面白かったなぁ。 この話の尚也はダメージが大きくいっぱいいっぱいなので、ちょっとかわいい感じですが、基本カッコいいと思ってます。 物事に動じない感じはペルソナシシリーズの主人公共通かと思いますが、P1はコミックス版の印象のせいか一番リアルな高校生らしい気がするんですよね。 P3の場合はもうなんというか、別次元。 そもそも交通事故以降、この主人公にそういう「普通さ」「一般さ」というものがあったのかと考えると、ぞっとします。 大好きです。 むしろあんなに充実していた学園生活より、菜々子イベントもっと増やしてくれと思ってました。 長々と書いてすいません。 とりあえず、こんなとこころで。 ありま。

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むかしむかしあるところに、死体がありました。 / 青柳 碧人【著】

むかし むかし ある ところ に 死体 が ありま した

本屋大賞2020のノミネート作品ということで、図書館で借りる。 一寸法師や花咲かじいさんなど、日本のおとぎ話をミステリー仕立てに再構築。 図書館が営業自粛する直前に借りたので、貸出期間もいつもより長く1ヶ月あり、ダラダラ読んでしまう。 というか、こういうミステリーはもともと苦手。 その世界に馴染むのに時間がかかるから。 でも、この短編集は、本屋大賞にノミネートされるだけに、読ませる力がある。 後半は結構スイスイと読めました。 以下、短編毎の評価 「一寸法師の不在証明」2点 「花咲か死者伝言」3点 「つるの倒叙がえし」4点 「密室龍宮城」3点 「絶海の鬼ヶ島」3点 なお、この本を借りた図書館は5月末まで完全閉館。 それまで手元に置いておいてほしいとのことだが、開館後も返すのをずうっと忘れてしまいそうでこわい。 昔話って子供に話して聴かせる物語にしては結構残酷だな、と常々思っていた。 もちろん残酷でない物語もある そんな、誰もが子供の頃大人から読み聞かせてもらった覚えのある昔話『一寸法師』『花咲か爺さん』『つるの恩返し』『浦島太郎』『桃太郎』をミステリ仕立てにアレンジした短編集。 一寸法師の下心、花咲か爺さんのダイイングメッセージ、つるのパワハラに対する意趣返し、竜宮城密室殺人事件、そして鬼サイドから見た"桃太郎"。 特に『花咲か爺さん』と『浦島太郎』が面白かった。 花咲か爺さん殺しの真犯人はすぐに見当はついたけれど、その真犯人に対する計画的な仕返しにはドキッとした。 成功するといいな。 反対に『浦島太郎』の伊勢海老殺人 殺海老? 事件の真犯人は最後まで分からなかった。 真実を知った時の浦島太郎の気持ちを考えると、ちょっと切なくなった。 それにしても鬼サイドから見た『桃太郎』…確かに桃太郎一味って、昔話史上上位にくい込む位、怖くて残酷だよね。 続編があるとしたら『かぐや姫』が読んでみたい。 野心に満ちた冷酷な"かぐや姫"のミステリは想像しただけでゾクゾクする。

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『むかしむかしあるところに、死体がありました。』(青柳碧人)の感想(181レビュー)

むかし むかし ある ところ に 死体 が ありま した

本屋大賞2020のノミネート作品ということで、図書館で借りる。 一寸法師や花咲かじいさんなど、日本のおとぎ話をミステリー仕立てに再構築。 図書館が営業自粛する直前に借りたので、貸出期間もいつもより長く1ヶ月あり、ダラダラ読んでしまう。 というか、こういうミステリーはもともと苦手。 その世界に馴染むのに時間がかかるから。 でも、この短編集は、本屋大賞にノミネートされるだけに、読ませる力がある。 後半は結構スイスイと読めました。 以下、短編毎の評価 「一寸法師の不在証明」2点 「花咲か死者伝言」3点 「つるの倒叙がえし」4点 「密室龍宮城」3点 「絶海の鬼ヶ島」3点 なお、この本を借りた図書館は5月末まで完全閉館。 それまで手元に置いておいてほしいとのことだが、開館後も返すのをずうっと忘れてしまいそうでこわい。 昔話って子供に話して聴かせる物語にしては結構残酷だな、と常々思っていた。 もちろん残酷でない物語もある そんな、誰もが子供の頃大人から読み聞かせてもらった覚えのある昔話『一寸法師』『花咲か爺さん』『つるの恩返し』『浦島太郎』『桃太郎』をミステリ仕立てにアレンジした短編集。 一寸法師の下心、花咲か爺さんのダイイングメッセージ、つるのパワハラに対する意趣返し、竜宮城密室殺人事件、そして鬼サイドから見た"桃太郎"。 特に『花咲か爺さん』と『浦島太郎』が面白かった。 花咲か爺さん殺しの真犯人はすぐに見当はついたけれど、その真犯人に対する計画的な仕返しにはドキッとした。 成功するといいな。 反対に『浦島太郎』の伊勢海老殺人 殺海老? 事件の真犯人は最後まで分からなかった。 真実を知った時の浦島太郎の気持ちを考えると、ちょっと切なくなった。 それにしても鬼サイドから見た『桃太郎』…確かに桃太郎一味って、昔話史上上位にくい込む位、怖くて残酷だよね。 続編があるとしたら『かぐや姫』が読んでみたい。 野心に満ちた冷酷な"かぐや姫"のミステリは想像しただけでゾクゾクする。

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