うちはサスケ 左腕。 はたけのかかし 【カカシ×サスケ】

欠損 (けっそん)とは【ピクシブ百科事典】

うちはサスケ 左腕

「身体がだるい」 これは珍しいこともあるもんだ、とサクラは思った。 めったに聞かない夫の弱音だ。 「あらどうしたの、風邪?」 「わからん 」 長年旅を続けていたこともあってか、サスケは自己管理能力がすこぶる高い。 つまり弱音を吐くこともなければ、体調を崩すこともめったに無い。 そんな彼が突然体調不良を訴えてきた。 これは一大事だ。 「とりあえず熱、測ってみようか」 優しく声をかけ、リビングのソファに座らせる。 体温計を差し出せば肘までしかない左腕に力を込めて、器用に腋に挟んだ。 「食欲はある?」 「寒気は?」「何か心当たりは?」「じゃあ眠気は・・・」 体温計が鳴るまでに、診察の為いくつか質問をする。 サスケは気の入らない声で、ない、ある、ない、あると簡潔に答えた。 大まかな検診を終え、風邪だろうな、と予測を付けたところでピピピと音が鳴った。 「・・・?」 「何度だった?」 「36度8分」 「え?」 おかしいわね、微熱程度なんだけど・・・。 サクラが言うと、サスケも予想外の体温の低さに首を傾げる。 サクラにしてみれば、今のサスケはやたらと体調が悪そうに見える。 顔色も青白いし目は虚ろ。 とても正常とは思えなかった。 サスケもサスケで、まるで自分の身体じゃないような感覚に陥っており、高熱があることは明らかだったつもりだが、体温計はそれを否定している。 するとサクラが突然はっ!と何かを思い出したような声を出した。 「もしかして・・・・・・サスケくん、平熱いくつ?」 「知らん、測ったことない」 「そう・・・念のためもう一度測って、消化の良いものを食べて、今日はもう早く寝ましょう?」 不幸中の幸い、明日は二人とも非番なのでサスケの看病に集中できる。 久しぶりにデートでも・・・なんて話も出ていたのだが、これでは難しそうだ。 とはいえ家で二人きりで過ごす休日もたまには悪くない。 それもこれも、妻の付きっきりの看病のおかげである。 隣で静かに寝息を立てているサクラの髪を優しくなでれば、その心地よさからか彼女の表情が綻んでゆく。 心の中で「ありがとう」と唱えながら最後の一撫でをしたタイミングでサクラが目を覚ました。 「はよ」 「おはよ、サスケくん・・・」 目覚めてすぐ視界に入ったサスケの顔を見つめたまま「体調はもう良いの?」と問うた妻。 相変わらず寝ても覚めてもオレのことしか考えていないの か・・・と思うと、サスケの心は幸せな気持ちで満たされた。 ああ、と短く返事をすればすかさず「試しに熱測ってみようか」と提案してきたので大人しく従うことにして体温計の音が鳴るのを待つ。 「やっぱりそうだ・・・!」 計測し終えた体温計を握り締めて吃驚した顔のままでいる妻にどうしたと声をかけると、その手をサスケの目の前に突き出した。 「見て!」 「・・・!」 「まさかと思ったけどサスケくん、とんでもなく平熱が低いのね・・・!34度代なんて久しぶりに見たわ!」 表示された数字は34. 風邪は完治している。 つまりサスケ本人も知らなかったが、これがサスケの平熱だったのだ。 どうりで36度8分が辛いはずである。 「うーん・・・夫の平熱を把握していないなんて。 妻としても医者としてもとんだ失態だわ・・・!」 「今までオレがめったに家にいなかったのが悪い。 そもそも風邪もほとんど引かないしな」 「だとしても医療忍者としてこれは由々しき事態・・・ということでサスケくん」 ここでサスケは、完治したはずの悪寒をぶり返すことになる。 「サスケくんの身体をもっと隅々まで知り尽くすため、今日一日を使って健康診断を行います!さぁーまずは服を脱いで!!」 やっと身体のだるさから解放されたサスケだったが、妻の嬉々とした姿を見て再びげんなりしてしまった。 妻のことは愛しているが、自分がオモチャにされるのは面白くない。 そしてサスケは決心した。 自分の健康診断が終われば次はサクラの番。 あんなことやそんなことをして、サクラの身体の奥の奥まで知り尽くしてやるのだ、と。

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【ナルト】うちは一族の生き残り!!クールな復讐者!うちはサスケの魅力を徹底紹介

うちはサスケ 左腕

あれから数日が過ぎ、中忍試験を明後日に控え、サスケの千鳥は完成した。 「よし、もう一度だ!」 カカシのその声に、サスケは左腕にチャクラを集中させる。 「はぁぁぁぁぁっ!」 チャクラが空気を震わせる音にまぎれて、ミシッ…と腕がきしむ音がする。 サスケはその痛みに歯を食いしさばり、先ほど千鳥で穴をあけた岩に向かい、地を蹴った。 ガガガガガガガガッ! サスケの左手が、刃と化して地を削る。 その振動でさらに腕に激痛が走る。 「うぉぉぉぉぉぉぉ!」 サスケはその痛みを振り払うかのように声を上げ、飛び上がり岩に手を突きつけた。 「千鳥!」 キィィィィィン! チャクラが甲高い音をたてて空気を裂き、 ドガァッ! 岩に大きな穴を開けた。 カカシが砕いた岩とほぼ同じ大きさ。 だが、サスケの千鳥はその岩の両端を削る程度にとどまった。 「っく…」 着地と同時にその場に崩れ落ち、膝をつくサスケ。 そして、カカシとの差に悔しさを現わしながらも、改めてその強さを実感していた。 「くそ…もう一度…」 立ち上がった瞬間。 すさまじい痛みが体全身を駆け巡り、 「ぐぁ…っ」 左腕を抱え、うずくまる。 「その痛みを忘れるな」 カカシの声は今までにないほど厳しい色を帯びている。 「ま、お前の限界は2発。 こんなところだ。 3発目は発動しない。 覚えとけ」 サスケはまだ息が整わず、顔を上げることもできない。 「無理に術を発動しようとしたら、術はうまく発動しないうえに……下手したら…」 カカシは一度言葉を切り、低い声で言った。 「…死ぬぞ」 「……っ」 サスケは一瞬息を飲む。 「たとえ生き残ったとしても、お前にとって決してろくなことにならないよ。 特に…お前はな…」 「呪印か」 サスケは絞り出すように言った。 その瞳に怒りと憎しみが浮かんだのをカカシは見逃さなかった。 一度その力に身を浸したサスケだ… そのすさまじさは体が覚えているだろう… 呪印を使えば、この千鳥もさらに強力なものになる… 無意識なのかそうでないのか…サスケの脳裏にそう浮かんだことを、カカシは気づいていた。 そのことを払拭せねばならない…。 「憎しみに任せ、呪印の力に依存すれば、お前の成長は止まる。 それじゃぁお前はイタチに勝てないよ」 ピクリ…とサスケの体が揺れる。 カカシはその姿をじっと見つめた。 ここでイタチの名前を出すのはカカシにとって賭けだった…。 これまで、サスケを刺激せぬよう、その名を出さずにきたのだ。 だが、危険を冒してでも、今のサスケには釘を刺しておく必要があった。 千鳥を手にしたサスケは次なる力を求める。 それが呪印の力であってはならないのだ。 「サスケ、自分を失うな。 お前はそんなものに頼らなくても強くなれる」 サスケはしばらく地面を見つめ黙していたが、「フッ」といつものように軽く笑い、立ち上がった。 「当たり前だ。 俺を誰だと思ってる。 それに、あんたが強くしてくれるんだろう?」 悪戯っぽさを浮かべたその笑顔に不意を突かれ、カカシは一瞬言葉に詰まったが、サスケの頭に手を乗せ笑った。 「ああ。 任せておけ」 しかし、その軽い振動ですら響くのか、サスケは顔をしかめた。 「…っ」 「かなりダメージを受けてるな」 「大したことない」 「無理するな」 笑いながら、カカシはサッとサスケを背に乗せる。 「な!やめろ!…い…っつ」 「暴れるな。 痛むぞ。 それに、今無理したら本戦に響く。 おとなしく乗ってろ」 「……チィッ」 観念したように、カカシにその身を預ける。 「サスケ、明日は一日体を休めろ。 体調を整えて、本戦に臨め」 サスケは明日も術の練習をするつもりだったのだろう… 一瞬黙り込んでから息を吐き出し、しぶしぶ…といった感じで「分かった」とつぶやいた。 「よし、じゃぁ帰るか。 今日は千鳥完成のお祝いだ。 お前の食べたいもの何でも食わしてやる」 サスケはしばし考えてつぶやくように言った。 「トマト…」 「いや…いくらトマト好きだからって…もっと他にあるでしょうよ…カレーとかハンバーグとか…」 「あと…ポテトサラダ…」 肩越しにサスケの顔が赤くなっているのが見える。 …こいつ…ほんとに… カカシは顔の緩みを隠し切れずに下を向いた。 「分かった。 死ぬほど食わせてやる」 夕日が優しい光を広げる中、二人は家路についた。 次の日の朝、カカシはサスケの腕に塗るための薬を調合していた。 「よし。 これでいいだろう」 作り終えて時計を見やると、10時を少し回っていた。 よほど疲れているのかサスケはまだ起きてこない。 …さすがにそろそろ起こすか… 「サスケ~。 そろそろ起きろ~」 しかし、返事がない。 「あんまり寝すぎるとかえって疲れが取れないぞ」 部屋を覗き込むと、サスケは布団を引っ張ってくるまりながら、もぞもぞと動いていた。 「お~い」 のんびりとした声でカカシが布団の端をめくると、そこから見えたサスケの顔が…少し赤い… 「暑いのか?」 聞かれてサスケは 「…寒い…」 消え入りそうな声で言った。 「寒いって…」 今日は少し蒸し暑いくらいだ。 「お前…まさか…」 カカシは慌ててサスケの額に手を当てる。 「あつっ!」 ひどい熱だ… 疲れが出たか… 千鳥が完成して安心したせいもあるだろう… それに、腕の怪我も一つの要因か… この様子だと…明日は… 「カカシ…俺は…出るぞ」 必死の形相だ… 「…分かってるよ。 助っ人を連れてくる。 ちょっと待ってろ」 カカシはサスケを自分のベッドに寝かせ、毛布を出して上にかける。 そして、水で濡らしたタオルを額に乗せ、頭を撫でた。 「すぐ戻るから、寝てろ」 その言葉が終わるより早く、サスケは目を閉じて眠った。 「間に合うか…」 カカシの視線の先には時計… 「ギリギリか…」 急いで家を出る。 そして里の中にある薬屋の裏口に回り、ドアをノックする。 「誰?」 すぐに声が返ってきた。 「ソラ、オレだ」 「カカシ?」 かちゃりと開いたドアの向こうから現れたのは、黒髪を肩で切りそろえた、柔らかい雰囲気の女性。 今は前線から身を引いて薬屋を営んでいるが、カカシと同じ上忍で、医療忍者だ。 かつて、ともに多くの任務をこなしてきた彼女は、カカシが信頼する仲間の一人だ。 「朝から…どうしたの?」 「ちょっと、急ぎ診てもらいたい奴がいるんだ」 珍しく慌てている様子のカカシを見て、ソラは頷いた。 「すぐに用意するわ」 幸いまだ店は開けておらず、ソラは急いで医療道具を準備し、カカシと共に家に向かった。 カカシが部屋に戻り、サスケを覗き込むと、うっすらと目を開けていた。 「サスケ、大丈夫か?」 「…目が…回ってる…」 ソラがその様子をカカシの後ろから見つめ、小さく呟いた。 「この子が…うちは…サスケ」 その緊張した空気をカカシは捉え、ちらりとソラを見る。 …やはり情報は得ているようだな… 戦いから離れているとはいえ上忍だ…里からある程度の情報は入っている。 それに、ソラはかなりの情報網を持っていることで有名だ。 おそらくほかにもいろいろな情報を持っているだろう…。 彼女からすれば、 …渦中の人、ここにあり…だ… コクリと、小さく喉を鳴らす音がする。 「診せて」 ソラがサスケの額に乗せられたタオルをはずし、手を当てる。 「ひどい熱ね…」 「ちょっと修行頑張りすぎちゃってね」 「修行って…」 言いながら心配そうにサスケを見つめる。 「誰…だ…」 サスケが警戒の色を浮かべる。 「心配するな。 オレの仲間だよ」 「里で薬屋をしてる医療忍者のソラよ。 よろしくね」 その優しい笑顔に、サスケは初対面にもかかわらず、安心感を覚える。 カカシの、彼女に対する信頼感がサスケにも伝わったのかもしれない。 「胸の音を聞きたいから、ちょっと布団めくるわね」 そっと毛布をめくり、サスケの左腕を見たソラは眉間にしわを寄せ、カカシを見た。 「これ…まさかあなた…この子に千鳥を…!」 「さすが…ご名答」 軽い口調で言うカカシにソラは声を荒げた。 「あの術を使うには、チャクラも体も、まだ未熟すぎるわ!」 「でも、習得しちゃったんだよね…こいつ」 「まさか! でも、なんて無茶なこと…。 現にこんな状態じゃない。 どうして…」 「明日のため…かな」 「明日…って…中忍試験…本戦!」 「そういうこと。 本戦を勝ち抜くために、修行を付けた。 それが本来の目的じゃないけどね」 「でも、こんな状態じゃ明日は無理だわ」 そう言ったソラの腕をサスケがつかんだ。 「頼む…」 「サスケ君… でも、この熱じゃ」 「ソラ、頼む」 今度はカカシがソラの肩に手を置く。 「カカシ…」 「何とかしてやってくれ。 そのためにお前を連れてきたんだ」 「そのためにっ…て…!あなたあれを使う気?」 声を上げて、ソラはプルプルと首と横に振った。 「だめよ!だめ!あれはだめ!」 「そう言わずに。 な?持ってきてるんだろ?」 にっと笑い、医療道具を入れた箱を見るカカシ。 ソラは道具箱をサッと取り、抱え込む。 「絶対ダメ!」 二人のやり取りを見てサスケが口を開く。 「あれって…なんだ?」 「ソラの作った、特効薬だよ。 熱も下がるし、体の疲労も回復する。 驚異的にね」 サスケは息を荒げながら切実な瞳でソラを見つめる。 「頼む…」 「そんな目で見ないで…」 「頼むよ」 カカシも腰をかがめて隣に座り、ソラをまっすぐ見つめる。 間近にせまるその真剣なまなざしに、ソラは目をそらしながら、もう一度首を横に振った。 「あれは…もうあと一つしかないのよ… 珍しい薬草を使っているから、新しく作るにもそう簡単にはいかない…。 それに、あの薬の副作用をあなたも知ってるでしょ…」 カカシは頷いて時計を見る。 「飲んでから24時間眠り続ける」 「中忍試験の本戦は13時開始。 眠る時間も症状によってはもっと長くなるし…起きてすぐ動けるわけじゃない。 間に合うかどうか…」 「構わない…」 サスケがゆっくりと体を起こす。 「サスケ君…」 「ここまできて、何もせずに寝て終わるなんて…冗談じゃない…。 可能性があるなら、その薬をくれ… それに、もし…あんたが薬をくれなくても…俺は這ってでもいく」 「そんな… そんなことしたら…」 中忍試験本戦の厳しさを知るソラが言葉を詰まらせ、カカシに目を向ける。 「本気だよ。 そういうやつなんだ」 はぁぁぁぁと、ソラは大きく息をはいた。 「わかった。 わかったわよ…」 がくりと肩を落としながらソラが薬を取り出すと、サスケはそれを奪うように取り、口に含む。 「あ、ちょっと…」 そしていつの間に用意していたのか、カカシから水を受け取って 早々 はやばや と流し込み、ガバッと布団をかぶり、 「寝る!」 宣言して、本当にすぐに眠った。 ソラは一瞬あっけにとられ、次にプハッと噴き出した。 「この子…あなたにそっくり」 「え?そう?」 「だって、あなたがこの薬飲んだ時と全く同じじゃない」 以前、共に任務に行った時、カカシは敵の毒に倒れたことがあった。 ソラが解毒したものの、熱が下がらず、この薬に助けられたのだが、その時カカシは今のサスケと全く同じ行動をとったのだ。 「一秒でも早く目を覚まして任務に戻りたい…。 そう思ったんでしょ…。 あなたは責任感のかたまりだから」 「覚えてないな…」 「すぐそうやってとぼけるんだから」 ソラはサスケの額にタオルを乗せなおす。 「あなたの大切な子なのね…」 「ああ」 カカシはソラの後ろからサスケの頭を撫でる。 ふいに二人の距離が縮り、あ互いの体温が伝わる。 「………………」 肩越しにソラがちらりとカカシを見た。 「ん?」 不思議そうに返すカカシに、ソラは一瞬むっとした様子を見せる。 「…なんだよ…」 「なんでもない。 それより、この子の腕…かなり無茶な修行したようね…」 「ま、わけありでね」 「そりゃぁ…そうでしょうけど…」 サスケはあの、うちはの生き残りだ… 『わけあり』なのはソラにも当然なことだと分かっている。 「頼めるか…」 カカシの心配そうな表情に、ソラは頷く。 「任せなさい」 その両手に、薄緑色の柔らかいチャクラの光が溢れだす。 そのチャクラをサスケの左腕にかざすと、少しずつ傷が薄くなってゆく。 「時間はかかるけど、本戦までには間に合わせる」 「ありがとう、ソラ」 「やめてよ。 私は木の葉の医療忍者よ。 里の忍を守るのは当たり前。 それに…あなたの大切な子なら、なおさらほっておけないわ」 そう言って、ソラがカカシに向き直る。 「それより、あなたも少し休みなさい。 ろくに寝てない顔してる。 この子が寝てから、自分の修行でもしてたんでしょ」 カカシは事実を言い当てられ、「ハハ」と頭をかいた。 「…敵わないな…」 「分かったら、ちょっと横になってなさい。 この子は私にまかせて」 「わかった」 カカシは珍しく素直に従う。 付き合いが長いということもあるが、カカシにとってソラは、なぜか素直にいう事を聞ける相手なのだ。 サスケを治療するソラを見ながらソファに寝転び、カカシは目を閉じる。 その存在が、カカシに久し振りの安心感と、穏やかな休息を与えた…。 ソラがサスケに付き添ってくれているおかげで、カカシはしっかりと体を休めることができた。 そして、起きてからは、何かが起こるであろう明日に向けて、忍具の手入れをしながら昔の事を思い出していた…。 ソラに初めて会ったときの事を… 親友と仲間を失い、心を閉ざしたカカシが、四代目の命で暗部に入ったばかりの頃… 任務で千鳥を使いすぎて腕を痛め、チャクラもスタミナも切れかけ、瀕死の状態で里にたどり着いたカカシを見つけたのがソラだった。 …あの時、もうこのまま死んでもいい… カカシはそう思った… だが、必死に自分を助けようとするソラの姿に、傷だけではなく、心も癒された。 そして、ボロボロになった右腕を包むあのチャクラの温かさに、涙を流した。 全てを失い、凍りついていた心が溶かされた瞬間だった…。 「あの時、会っていなかったら」 オレは死んでたかもしれない… たとえ命は落とさなくても、それと同じになっていただろう… カカシはそんな事を思った。 それでも根深いカカシの闇はなかなか拭い去ることは出来なかったが、ソラとの出会いが初めのきっかけになったことは確かな事実だった。 その後暗部を抜け、共に任務に携わるなかで、カカシはソラの明るさと優しさに幾度となく心を救われ、二人は信頼関係を築いていったのだ。 彼女への感謝は尽きない…。 その恩を返すためにも、カカシはどんなことがあっても、ソラを守りたい…とそう思っていた。 だからこそ、明日は気が抜けない… …大蛇丸はいつどのタイミングで…どう仕掛けてくるのか… まったく何も情報がないままだ… 「待つしかないとはな…」 つぶやき、ふと手を止めて外に視線をやると、すっかり暗くなっていた。 カカシは手早く忍具を片付け、サスケの眠る部屋に向かった。 「ソラ…一度帰るか? 」 声をかけるが、ソラはベッドにもたれ掛かった姿勢で寝息をたてていた。 「寝ちゃったのか…」 サスケを見ると、すっかり腕は治っている様だ。 「無理させたな…」 カカシはソラを抱き上げてソファに寝かせる。 そして布団をかけ、本当に…無意識に…ソラの髪を撫でていた。 「お前には、感謝することばかりだよ…」 すやすやと眠るその顔を見ていると、カカシの胸の奥にあたたかい何かが広がってゆく。 「………ん……」 「……っ! 」 ソラの小さな身じろぎに、カカシはハッとして手を引いた。 そして、静かに部屋を出て、片手で顔を覆い、大きく息を吐き出した… ……いつ命を落とすか分からないオレが…… 「なにやってんだ……」 自嘲のつぶやき… …カカシは里のためなら全てをかけて戦う覚悟だ… どんな危険な任務も、いつも先陣を切って飛び込む。 命さえも惜しまずに…。 そんな自分だからこそ、これ以上深く関わるべきではない…と、いつもそう思って距離を取ってきたのだ… 「何をやってるんだ…オレは…」 自分を戒めるようにもう一度つぶやく。 -- これ以上にはなれない -- カカシの胸の中をやるせない気持ちが埋めていった…。

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うちはイタチ

うちはサスケ 左腕

「……何でサスケのおっちゃんって 腕つけねーの」 その日、火影室にて。 仕事に追われる七代目を少しでも 助けようとサラダは甲斐甲斐しく書類の 整理を引き受け…ボルトはそれにつきあわされていた。 山のような業務に息切れしていたナルトも、ちゃんと手伝いなさいよ!とボルトにハッパをかけていたサラダも唐突の質問に一瞬手が止まる。 「父ちゃんみてーな義手、おっちゃんも つけりゃいいのに。 …用意できねーの」 ボルトは本気でサスケの事を案じているようだった。 また随分なついたものだ…ナルトは苦笑してしまう。 「用意はしてるさ。 あいつがその気なら いつでもな。 でもんー…あいつはな……」 あいつは多分、一生腕はつけない。 大戦が終わって数年たった頃を思い出す。 その時サスケは旅に出て始めて木ノ葉に 戻ってきた…というより、木ノ葉の ピンチを察知し駆けつけてくれたのだ。 大筒木トネリがヒナタを拐った、あの 闘いで。 だがこちらに挨拶もせずまた姿を消したので、カカシから話を聞かなかったら 知らないまま見逃すところだった。 戸惑いを隠せないサクラをいったん里に 残し、急いで探し出して木ノ葉を越えた 森でようやく呼び止めた。 「サスケ!お前一言くらい声かけてけってばよ!」 ナルトが呼び止めると サスケはやれやれ見つかっちまった、 という風に振り向く。 『今』ほど前髪は長くないが、最初の旅に出た時よりは随分髪が伸びていた。 身体を包むマントは旅人が板についたと 感じさせる。 背負っている刀は一見では見えない。 そして…その左腕も。 積もる話は山程あった。 どれだけ自分が…サクラちゃんがお前を 待っていたか。 言ってやりたい事は山程あった。 本当は一番言いたい事は『もう戻って こい』なのだが、それを受け入れない だろう事はわかっている。 だからせめてと、ナルトは口を開いた。 「…今度こそ、左腕つけてけよ。 最初は 違和感あっけど、オレも大分慣れた」 そういって自分の右腕の義手を動かして みせる。 「…いらねーよ。 そんなもの無くても、 オレは強いからな」 その言い方が『わざわざ』茶化している ように見えたので、 「……じゃねえだろ!」ナルトはつい ムキになってマントの中のサスケの左腕を掴み、引っ張り出した。 何も無い、空っぽの。 …ただの袖を。 「……?」 「…お前まさか、まだ罪を償ってねー からって。 …言うんじゃねーよな」 今回、木ノ葉を助けるため駆け付けて くれた事もそうだが。 この数年、世界各地で起こる様々な戦や 事件…それが穏便な終結に繋がるよう、 人知れず動く影がある。 そのいくつかは恐らくサスケが関わって いる。 木ノ葉で事実確認できたものは殆どないが、ナルトにはそんな確信があった。 「どれだけたったと思ってんだ! お前はあれから充分……!」 相変わらず一人で抱えこもうとするように見え気にくわなかった。 「…………」 そんな目で睨むな。 真顔で懐に飛び込んでくるところは昔と変わらないな…。 サスケは軽くため息をつきながら、 「イテッ!」 扱いに困ったので、右手でナルトの耳を つまんで黙らせた。 まるで駄々をこねる子供をはぐらかす 様に。 「…………!」 「せっかくだが………ナルト」 サスケは微かに微笑んでいた。 「ナルト…お前はそれでいい。 だがオレは…この方が性にあってる。 この方が……」 …イタチが。 …あの時言ったのだ。 ひとつで完成するものはないのだと。 「…この方が…自分が欠けているのが。 …解るからいいんだ」 ナルトを視るその瞳はひどく優しくて、 こんなサスケの瞳をナルトは見たことが なくて。 ナルトはそれ以上何も言えなかった。 そしてナルトとサスケが別れたこの後 暫くして、今度はサクラがサスケを 追いかける事になる。 「今度こそ、懐に飛び込むのはサクラちゃんの番だな」と言うと サクラは微笑んで里を後にした。 あいつが飛び込んでこないなら、 またこちらから飛び込めばいい。 あいつが欠けたままなら……。 その後二人の旅が始まったと聞いた時は、ナルトは嬉しさで涙が止まらなかった。 「…とゆうわけで、 あいつは絶対腕つけねーってばよ」 父は昔を思い出しながら感慨深げにして いるのだが、『この方が欠けてるのが わかるんだと』と大雑把に説明された ボルトは 何だそりゃ。 意味のわからない顔をして、 サラダはそんなボルトを見つめながら やれやれという顔をしていた。 ボルトに言ってやりたいのだが…どうしてこう、うちのパパに弟子入りしたり、 今回も義手の事を七代目に聞いたりと…。 娘の私を差し置いて全くあきれてしまう。 まあ、悪い気はしないのだけれど。 片腕で旅するパパを案じるのはボルトだけじゃない。 当然娘である自分もサクラに 聞いてみたことがある。 『うちはシン』の一件が一段落し、 サスケが再び旅に出たあとの事だ。 「ママ…パパって片腕…大丈夫なのかな。 そりゃ強いのはよくわかったけど… 旅の間いつも一人なのに…」 ふふ。 父とすっかり打ち解けた娘をみて サクラは微笑ましく思った。 「そうね、でも…」 サクラは一瞬遠い目をした。 「この方が、一人でないのがわかるって。 昔…パパが言ってたの」 「…なあにそれ?」 「……だから大丈夫」 今回七代目が言った理由とは少し違うようだが、まさにこちらもボルトと同じ『何だそりゃ』だ。 訳がわからないが、サクラはふふふとずっと嬉しそうに笑っていた。 ママは今でも少女のようにパパに恋してる人だ。 パパと再会してそれがよく解った。 これまで二人がどうやって生きてきたのか、まだわからない事ばかりだが… 二人の絆を知った以上、ママがそう言う なら大丈夫だと思うのだ。 ボルトはサラダが今何を考えているかなど知る筈もなく、ただ先程の父ナルトの 言葉をどう受け取ったのか… 暫し考えこんで、やがて口を開いた。 「…でもおっちゃん一人でも強いけど……ま、何かあったらオレ達頼って くれるしな」 それは意外な言葉で。 ナルトもサラダも目を丸くする。 「…だって父ちゃん助けにいった時… オレの事頼ってくれたしさ。 だから連れてきたって言ったんだ。 あれ…嬉しかったってばさ」 ボルトが真顔で語っているので、 逆にナルトは赤面してしまいながら 「…まあな」と小さく呟いた。 それを。 知る人は少ないと思ってたのだ。 その言葉が、 ボルトから発せられたことに。 ボルトが気付いていてくれたことに。 ナルトはまるで自分の事のように照れて しまって、くすぐったくて堪らなかった。 …じゃああの時の。 サラダは想う。 『サラダ!』 『…わかってるってば!』 …うちはシンの闘いで、サスケがサラダの名を呼んだ時の。 あれもそうだったのだろうか。 誰もまだ、 自分が闘えるなど思ってなかった頃。 力強く父は娘を呼んで、敵を任した。 そうだったのだろうか。 ママが。 七代目が。 …ボルトが感じているパパとの絆は。 私にも、とっくに。 …ああ。 …そっか…。 サラダは照れている七代目の側で、 一緒になって照れて赤面してしまった。 …すこしだけ。 そうだね。 パパは、ほんとに幸せな人だ。 ……こんなに沢山の人に想われている。 パパは多分、一生腕はつけない。 パパは欠けたまま生きている。 だけど一人じゃない。 欠けを埋めて…余りあるものに。 …満たされているのだ。 -end- 自分設定だらけですみません…が さっ、さらに… 汗 今回の話は、いちおう以前upした 駄小説『つつみこむ光たち』の後に なりまして、サラダちゃんは鷹とも交流があります。 そしてこの話の暫く後、ボルトくんは直接サスケと話がしたくなり、図書室にいくので『道を繋ぐ』に続きます… もっ、もしお暇があればあわせてお読みくださればあわわわ。 外伝、BORUTOで余りに盛り上がり、これだけ公開中に書くぞ!と念仏のように考えてた話共はこれで一応最後になります…。 おつきあい下さってありがとうございました。 15年NARUTOを …サスケを 笑 愛し続けた私にとって、外伝とBORUTOはまるで宴。 祭のようでした。 これからも、大好きな作品です。 このあとは過去の再録か、 不定期な更新になりますが、 BORUTOのDVDが出る頃にはまたウズウズしてくると思いますので、 見かけましたらまた。 宜しくお願いいたします.

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